はじめに
「AV(アダルトビデオ)を見すぎるとED(インポ)になる」と聞いたことはあるでしょうか。
昔からまことしやかにこのようなことが言われます。
そして、実際にAVを見ている時間とEDの関連性を示す研究結果もあります。
しかし最近「AVを見すぎることとEDに関連はないのではないか」という研究が出てきました。
結論としては
「AVにはまっている男性はEDになりやすいかもしれない」と言えます。
詳しくみてみましょう
(ここでのAV/アダルトビデオは、DVDやインターネットなどのあらゆる媒体を含みます)
AVの見過ぎがEDになる理由
AVやポルノは道徳的・社会的に様々な議論があります。
そのため、反ポルノグループを中心として、AVの利用がEDを引き起こすという主張をしています。
そして、実際にこれまでの研究でもAVをよく見る人の方がAVをあまり見ない人に比べてEDになりやすいという結果も出ています。
その理由としては、AVの強い刺激に慣れてしまうと一般的な刺激では満足できずEDになるというものが挙げられます。
たしかに、EDには心理的な要素が大きく影響します。
EDになる原因についてはこちらから
「AVの見過ぎ」がEDになる理由ではない
しかし、先ほどの議論についてもう少し考えてみましょう。
世界的に男性の約2人に1人が少なくとも月に1度は見ています。
このようにAVは爆発的に蔓延していますが、EDの方が爆発的に増えたという事実はありません。
このような事実をどう解釈するのでしょうか。
一つ、最近発表された論文をみてみましょう。
2019年にアメリカから発表された論文で、AVを見る人を対象に行われた調査があります。
結論としては
AVの視聴時間とEDのなりやすさは関係しない
一方、AVにはまっている人はEDである人が多い
ということでした。
この「AVにはまっている人」というのが、どういうことかと言うと
「インターネット・ポルノにはまっていると思う」
「オンライン・ポルノの利用を止めることができないと感じる」
「オンラインでポルノを見たくないときでも、ポルノに惹かれてしまう」
「ポルノを見るために必要なことを先延ばしにしてしまった」
これらの項目により当てはまる人のことを指します。
(AVというのは和製英語で、海外ではアダルトビデオをポルノと言います)
つまり、AVを長時間見ても、自分でそれをコントロールできている人は別にAVがEDを引き起こすことはありません。
一方で、AVに中毒的になってしまっている人の場合は、EDが引き起こされる可能性があります。
先ほどの、「AVがEDを引き起こす理由」では、「AVは性的刺激が強いから」ということが挙げられました。
しかし、いくらAVの刺激が強いと言っても、あくまで視覚と聴覚に限定されます。
一方、リアルな性行為の場合には嗅覚や触覚などの刺激も加わります。
根本的にAVを見ているということと、実際に生身の人を相手にしているということは心理的にも違うでしょう。
そのうえで、AVの方が性的刺激が強いという人の場合は「AVにはまっている」状態と言えるかもしれません。
AVを見る際の注意点
AVを通常楽しむ分には、とくに害はありません。
一方で、AVをSEXや性機能の参考資料とすることはすすめられません。
たとえば「ペニスのサイズ」に関しても、AVでは撮影の際につくりもののペニスが使われる場合があります。
また、「精液の量」に関しても、AVでは卵などを使って作られた「擬似精子」が使われる場合が少なくありません。
そのようなもののと比較して、自分のペニスで悩んだり、精液の量が少ないと悩むことは、無意味なことです。
AVの裏側について知りたい方はこちらがおすすめです。

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AVはあくまでフィクションとして楽しむ分には問題ないと言えるでしょう。
まとめ
AVを通常楽しむ分には問題ありません。
ただし、AVにはまってしまうAV中毒のような状態になってしまうとEDなどが引き起こされる可能性があります。
また、AVはフィクションであることを認識して楽しみましょう。
【参考文献】
Journal Sexual Medicine VOLUME 16, ISSUE 1, P111-125
監修医師:老木悠人