はじめに
サプリを飲もうと思う方、サプリを飲んでいる方のなかには
薬のかわりのように飲んでいる方もいるでしょう。
「体調がなんとなく良くないからサプリを飲む」
「薬はなんとなく抵抗があるからサプリを飲んでいる」
など。
では、医薬品とサプリの違いとはなんでしょうか。
今回は、その疑問にお答えします。
また、サプリのメリット・デメリットやサプリの選び方について知りたい方はこちらから
サプリと医薬品の関係
ダイエタリー=食事、サプリメント=補うものという意味です。
つまり、サプリはあくまで「食事を補うもの」です。
ただし、現実にサプリと医薬品を分けるものは「薬機法」などの法律になります。
科学的、医学的にはサプリと医薬品の違いは曖昧です。
たとえば、亜鉛にはサプリがある一方で、医薬品としても亜鉛の薬(ノベルジンなど)があります。
サプリの亜鉛も医薬品の亜鉛も中身は同じです。
たしかに含有量は、医薬品は1錠25mg、サプリは1錠15mg程度と違いますが、サプリを2錠飲めば医薬品と変わりません。
ただしノベルジンの場合は、医薬品のなかでも処方薬なので、大きな違いとして医師が必要な人に処方する。
ということがあります。
ノベルジンを処方されるのは医師が亜鉛が不足してると診断した人のみです。
サプリと医薬品の違い
サプリと医薬品の線引きは曖昧な部分がある、ということをご説明してきました。
しかし、それでもサプリと医薬品には大きな違いがあります。
それは、効果が科学的・医学的に証明されているかです。
サプリの効果は「ありそう」な感じはするものの、本当に効果があるという医学的根拠はありません。
さきほどの亜鉛の話と矛盾するように思われるかもしれません。
断言しますが、医薬品の亜鉛には効果があるのです。
というのは、医薬品の場合は、正確に飲む人を限定しているからです。
そして、亜鉛が不足している人の場合には有効だという医学的根拠が十分にあります。
では、サプリの効果が「ありそう」とは根拠もなく言っているのでしょうか。
そんなことはありません。
サプリの効果もある程度根拠があります。
しかし、医薬品と違って根拠が弱いのです。
大きく2点理由があります。
動物実験
プラセボ効果
それぞれ詳しくみてみましょう。
動物実験
医薬品はすべて人体に対しての研究に基づいて評価されています。
極端な言い方をすれば、人体実験によって効果が証明されているのです。
一方、サプリの効果・効能の多くは動物実験の結果をもとにしています。
たとえば、「マウスの血圧を少し下げた」という結果から「血圧を下げる効果があります」と言うのです。
そのため、サプリが人体で本当に効果を発揮するのかははっきりしないところがあります。
プラセボ効果
サプリはプラセボ効果の検討がしっかりと行われていない場合が多いことが問題です。
そもそもプラセボ効果とは簡単に言うと「効くと思って飲むと、小麦粉でも効く」ということです。
にわかには信じがたいかもしれません。
実際にあった睡眠薬の有効性を確認する研究で
睡眠薬を飲んだ人の30%は眠りました、一方で偽薬(ただの小麦粉)を飲んだ人は20%眠りました。
この研究から、睡眠薬は実際に有効だったと言えます。
しかし、ここで注目すべきは偽薬でも20%の人に有効だったということです。
睡眠薬の場合、気持ちが強く影響しそうな気がするかもしれませんが、同じような結果が高血圧の薬でもよくみられます。
実際にはただの小麦粉である偽薬を飲んだだけで血圧が下がるという研究は非常によくあります。
それほど、偽薬の効果、つまり思い込み・気持ちの力は強いのです。
そして、サプリの効果を調べる場合に多いのはサプリだけを飲んだ結果を調べるという誤りです。
医薬品の場合は、さきほどご説明したとおり、実際の薬とプラセボを比較します。
分かりやすくいうとテレビ番組の
芸能人格付けチェック
をしているのです。
芸能人格付けチェックの場合は、A:高級品、B:安物、と2つを比較してもらいます。
これをBだけでみるとどうでしょうか。
Bだけを出されて、美味しいかと聞かれると、ほとんどの人が美味しいと言うでしょう。
これがサプリの研究でよくみられていることです。
以上から、サプリは医薬品と比べて効果がはっきりしていないのです。
まとめ
- サプリと医薬品の違いは成分ではなく、法律上の違い
- ただし医薬品は医学的・科学的根拠がはっきしている
- サプリは実際に効果があるかはっきりしないものがほとんど
【参考文献】
画像引用:チャイルドヘルス 20(1): 6-8, 2017